子どもに英語を学ばせたいと思っても、
「いつから始めるのがベストなのか?」と迷いますよね。
赤ちゃんのうちから始めるべきか、幼稚園以降で十分か、
小学校からでも間に合うのか。
この記事では、英語をいつから始めるべきかについて、
今わかっている科学的根拠をもとに
0〜12歳のお子さんを持つパパママ向けに解説します。
いつから始める?
早く始めた方が言語の習得が容易です。
言語習得は、最初に第二言語に触れる年齢に大きく影響されます。
脳が言語を自然に吸収できる「臨界期」は、7〜8歳頃と言われています。
- 音声の習得:
生後10か月頃までの赤ちゃんは
あらゆる言語の音素を聞き分けられるが、
その間に触れる機会がなかった音素については、
聞き分ける能力は急速に低下(Kuhl et al., 2011) - 発音と文法:
7〜8歳までに第二言語に触れた子どもは、
ネイティブに近い発音や直感的な文法感覚を獲得しやすい
(Lenneberg, 1967) - 認知能力:
早期のバイリンガルは注意力、実行機能、
問題解決能力が向上(Bialystok, 2017)

早く始めるほど自然な発音や文法の習得が容易です。
しかし、3歳以降でも十分に学習可能で、
語彙や理解力、会話力はしっかり伸ばせます。
乳児期(0〜2歳)
言葉を話す前から、脳は言語を吸収しています。
年齢ごとに分けて見てみましょう。
0歳
目的: 英語の音やリズムに慣れる
- 英語の子守唄や簡単な歌、
録音された絵本を数分でも聞かせる - 発話は期待せず、音に触れることが主
乳児期に第二言語に触れることで
後の音声認識能力が高まる(Kuhl et al, 2004)
1歳
目的: 音と意味を結びつけ始める
- 身近なものの英単語を少しずつ導入(ball, cup, dogなど)
- 繰り返しの絵本や歌で学ぶ
- 手遊びや指差しで単語を関連付ける
12か月頃までの音素認識が語彙習得に影響
(Kuhl et al, 2011)
2歳
目的: 理解力と初期発話の準備
- 短いフレーズで声かけ:「Open the door」「Sit down」「Let’s eat」
- 日常生活のルーティンで英語を使用
- 単語や短いフレーズの繰り返し
理解力・初期発話の発達に効果的(Paradis et al., 2011)



2歳でも遅くありません。
毎日短時間触れ合うことで発音や理解力の土台ができます。
幼児期(3〜5歳) – まだまだ始めどき
3歳以降に英語を始めても十分効果的です。
発音は少し時間がかかることもありますが、語彙、理解、簡単な会話力は早く伸びます。
遊びを通した学習で語彙と文理解が定着(Genesee, 2004)
好奇心と社会的学習により、学ぶ意欲が高まる



3歳以上でも遅すぎることはありません。継続して楽しく学ぶことが大切です。
小学生以降(6〜12歳) – 遅めの開始でも効果あり
6歳以降でも英語学習は有効です。
- 発音:ネイティブに近い発音の習得はやや難しくなる
- 学習スタイル:構造的なレッスンやゲームが効果的
- 語彙・理解:興味のあるテーマを通じて効率的に学べる
母語の認知スキルを活用することで、
年齢が上がっても高い英語能力を獲得できる(Cummins, 2000)



結論: 遅く始めても十分に習得可能です。
ポイント
- 完璧さより継続を重視: 毎日10〜15分でも効果的
- 歌・絵本・視覚教材の活用: ネイティブでなくても質の高い学習ができる
- 日常生活で英語を使う: ルーティンを英語で説明
- テクノロジーの活用: アプリや動画、オンラインレッスンで補助
- 楽しむ姿勢を見せる: 親のポジティブな態度が子どものモチベーションに直結
正確さよりも「継続的なやり取り」が語彙習得に重要(Paradis et al., 2011)
よくある誤解
始め時の見極め方
- 子どもの発達段階:言葉に興味があるか、遊びや聞くことが好きか
- 親の継続力:毎日少しでも英語に触れ合う時間を作れるか
- リソースの有無:絵本、アプリ、歌、オンライン教材など
- 目標:発音重視か、会話力・語彙力重視か



早く始めると習得が容易ですが、3歳以降でも十分効果があります。
年齢別のアプローチ
| 年齢 | アプローチ | 根拠 |
|---|---|---|
| 0歳 | 音やリズムに触れる(英語の歌・子守唄・短い絵本) | Kuhl, 2004:乳児期の音声への触れ合いは後の音認識能力を高める |
| 1歳 | 身近で簡単な単語を教える | Kuhl et al., 2011:12か月頃までの音素認識が語彙習得に影響 |
| 2歳 | 短いフレーズ・日常生活でよく使う英語を使い始める | Paradis et al., 2011:理解力・初期発話の発達に効果的 |
| 3〜5歳 | 遊びを通して英語に触れ合う | Genesee, 2004:遊びベースの学習で語彙と文の理解が定着 |
| 6〜8歳 | 体系立てられた楽しいレッスンを受ける | Bialystok, 2017:認知スキルを活かして語彙・文法を効率的に習得 |
| 9〜12歳 | 読む・書く、英語で話す機会を持つ | Cummins, 2000:母語スキルを活かして第二言語習得が可能 |
参考
- Kuhl, P. K. (2004). Early language acquisition: Cracking the speech code. Nature Reviews Neuroscience, 5(11), 831–843.
- Kuhl, P. K., et al. (2011). Infant speech perception: Neural substrates and development. Science, 333(6046), 200–204.
- Bialystok, E. (2017). The bilingual adaptation: How minds change through experience. Psychology Press.
- Cummins, J. (2000). Language, power, and pedagogy: Bilingual children in the crossfire.
- Paradis, J., Genesee, F., & Crago, M. (2011). Dual language development and disorders.
- Lenneberg, E. H. (1967). Biological foundations of language.



コメント