歴史の説明や難しい知識ではなく、戦争や平和といったテーマについて、子どもが怖がることなくやさしく考えられる絵本はないだろうか。そう考えていたときに見つけたのが、デイヴィッド・マッキーの『The Conquerors(日本語版:せかいで いちばん つよい国)』でした。
『The Conquerors』は、強さ、支配、共感、そして平和といったテーマを、子どもが安心して触れられる形で描いた印象深い絵本です。『ぞうのエルマー』で知られるマッキーらしく、力強く表情豊かなイラストと、シンプルで心に残る語り口が組み合わさり、少し難しいテーマでも自然と子どもの心に届くようになっています。
作者について
デイヴィッド・マッキーといえば、『Elmer(ぞうのエルマー)』シリーズでご存知の方も多いと思います。あたたかく、ユーモアがあり、色彩豊かなイラストで知られる作家です。想像力にあふれ、子どもの気持ちにそっと寄り添う物語を描く人なので、自然と別の作品にも興味が湧きました。
『The Conquerors』はElmerシリーズほど有名ではありませんが、そっと手に取りたくなる魅力のある絵本です。Elmerシリーズとは異なり、声を出して笑うタイプの物語ではありませんが、読んだあとに少し余韻が残り、親子でゆっくり考える時間を与えてくれるような作品だと感じました。
ストーリー
この絵本では支配や対立を描いていますが、暗い戦争の場面や武器、現実的な暴力描写は出てきません。絵がやわらかく象徴的であるため、子どもにとって怖い印象にはなりません。
ストーリーは次のように始まります。
There was once a large country that was ruled by a General.
The people believed that their way of life was the best.
かつて将軍に率いられている大きな国があり、国民は自分たちの国の暮らしこそが最も優れていると強く信じています。その自信とともにその国はますます力を持つようになります。やがて将軍は他国を次々と征服し、世界は少しずつ彼の支配下に入っていきます。

そしてついに、まだ征服されていない小さな国が一つだけ残ります。それはあまりにも小さく、将軍はこれまで侵略する価値もないと思っていたほどでした。この設定には少しユーモアもあり、「そんなに小さな国に何があるのだろう」と読者の好奇心をくすぐります。ところが、いざ軍隊を進めてみると、物語は思いがけない方向へ進みます。その小さな国には軍隊がなく、抵抗もまったくありません。人々は恐れるどころか、まるで歓迎する客人を迎えるかのように兵士たちを出迎えるのです。

読み進めていくと、強さが必ずしも幸せにつながるわけではないこと、そして他者を理解することの大切さに気づかされます。物語は派手な結末ではなく、少し考える時間を残したまま静かに終わるので、親子で話しながら読むのにもぴったりです。
対象年齢
目安としては5歳くらいからが読みやすいと思いますが、年齢よりも「一緒に読むこと」が大切だと感じます。小さな子どもでも、親がそばで言葉を添えれば十分に楽しめますし、少し大きくなると公平さや思いやりといったテーマにも気づき始めるかもしれません。
購入方法
残念ながら、この『The Conquerors』(英語版)は現在は絶版になっています。そのため、一般の書店で新品を見つけるのは難しいかもしれません。ただし、読む方法がまったくないわけではありません。
Kindle版(電子書籍)で読む ― おすすめ
比較的手に入りやすいのがKindle版です。絶版になっていてもデジタル版なら読むことができ、タブレットなどでイラストを拡大できるのも魅力です。電子書籍に慣れているご家庭には、とても便利な方法だと思います。探し回らなくても読めるという安心感があり、個人的にも電子版はおすすめです。
中古本を購入する
Amazonなどのオンラインショップでは、第三者の出品者から中古の紙の本を購入できることがあります。状態や価格はさまざまなので、説明を確認しながら探してみるのがおすすめです。紙の本で読み聞かせたい方にはうれしい選択肢です。
日本語版を購入する
日本語版は現在も流通しており、Amazonなどのオンラインショップで新品を購入することができます。日本語で読み聞かせをしたいご家庭にとっては、いちばん手に取りやすい方法だと思います。
おわりに
『The Conquerors』は、親子でゆっくり読み進めたくなる絵本です。強さや思いやりについて、自然に話せる時間をそっと作ってくれます。静かながら、読み終えたあとも心に残る一冊。絶版になっているのが惜しまれる、ぜひおすすめしたい絵本です。


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